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the industrial

都内で働くITエンジニアの日記

Creed(ネタバレアリ)

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大抵の映画好きな人は、おそらく自身の歴代個人映画ランキングというのを持っているもので、そういう人は少なからず新しい映画を鑑賞するたびに「歴代1位を超える映画になりうるか」というよくわからない期待を抱くのではないかと、個人的には思っている。

そんな僕は、歴代個人映画ランキング1位であるミストをぶち破る映画に未だに出会えていない。

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しかして、歴代個人映画ランキングにさえ入らない、いわば殿堂入りしたお気に入りの映画がロッキーシリーズだったりする。

 

初めてロッキーを見たのは小学生の頃で、当時はロッキーの素晴らしさなんてこれっぽっちもわからなかった。

ただ単に主演を務めるシルベスター・スタローンが僕のお父さんにそっくりだということと、よくわからないけど「エイドリアーン!エイドリアーン!」と叫んでは、いろいろなネタとしてパロディー化されているなんともお粗末なイメージだった。

 

しばらくして、ロッキー ザ ファイナルという映画が公開される事を知り、大人になった僕が懐かしい思いとともに1から観なおして見た結果、ロッキーの一言一言がズサズサと胸に突き刺さり、1作品ごとに涙。

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さらに、何故ロッキーが試合の最後にインタビューを受けず、ただひたすら「エイドリアン」の名前を叫んで居たのかを知って以来、バカだけど本当に大切な事は何かということを知っているロッキーの生き様がとても好きになり、僕の人生のお師匠として歴代個人映画ランキングを飛び抜け、堂々の殿堂入りを果たしたのだった。

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さて、本題。Creedという名前でロッキーのスピンオフ作品が作られるとかなんとかいう、噂程度の記事を目にし、胸躍ったのが確か2年くらい前。

ロッキー ザ ファイナルでは、冒頭から終始泣きっぱなしになるほど既にロッキーの事が大好きになっていた僕は、この日をずっと待っていた。

 

冒頭。一瞬「あれ、違う映画に座っちゃったのかな」と思ったのもつかの間、不意をついて出てくる「アポロ・クリード」という名前。

もうその名前が字幕に出てくるだけで、「ああ、ちゃんとロッキーの新作(ではないけど)を観ているんだ」という感慨深さと、それでもまだ信じられなさを感じながら、少しだけウルっとしてしまった。

「エイドリアンズ(ロッキーが経営するレストラン)」が出てきて、本作の主人公であるアドニス・ジョンソンとロッキー・バルボアが対面した時、さらにボロボロと涙が出てきた。ロッキーシリーズでここまで涙する人は僕くらいだろうか笑

 

Creedとはもちろん、ロッキー1からロッキーのライバルとして登場していたアポロ・クリードの苗字のこと。

何故アポロと息子であるアドニスの苗字が違うのかは実際に鑑賞して欲しいところなのだが、つまりはそういうことで、それを負い目に感じ葛藤しているアドニスの心情と、親が有名人であるが故に子供に迷惑を掛けてしまっているロッキーの心情が重なっているのがとても印象的。

 

そんなアポロの息子であるアドニスがあくまでも本作の主人公なわけで、ロッキーには無くてはならない音楽自体も極力使用されていなかったように思う。だけど、それが逆に、本当に良い味を出していた。

 

映画の作りといえば、ロッキーの本質はヒューマン・ドラマで、実は肝心のボクシングは二の次だというのが、シリーズを通した僕の個人的な感想。

1の試合シーンなんてのはいかにもハリウッド映画で、大ぶりで派手なパンチのみ。ラウンドも毎度ダイジェスト方式で、まったくボクシング映画っぽくない。(ボクシング映画が何かというと答えられないのも事実だが...)

だけど、今回はそんな試合シーンにリアルさの追求がなされていたように見えた。

緊張感を持たせるためか長回しが多数。スパーリングはおそらく、ボクシングの1ラウンドと同じ長さの3分間の1カットだったり、クライマックスの、控室からリングに上がるまでの一部始終が1カット(暗く暗転はするが)で、いよいよ決戦だという盛り上げに使われていたり。試合においては、ジャブやストレートやフックなど、パンチ1つ1つをシーン毎に使い分けていたり。

それらはおそらく、ランボー4で見せたゴア表現を取り入れることで極限までリアルな戦場という演出をしてきたスタローンの意向なのではと思うのだけど、やっぱり途中ラウンドはダイジェストになるので、良くも悪くも”進化したロッキーシリーズ”だったように思う。

 

ロッキーの近況といえば、すでにポーリーも他界してしまい(一番泣いたシーン)、息子はロッキーの影から逃げるようにカナダへ移住。ひとりぼっちになってしまい、ただひたすら毎日、エイドリアンのお墓とその横にあるポーリーのお墓、それからエイドリアンズと古い家を往復する毎日。

極めつけが、本作でロッキーは病に倒れてしまうのだけど、その病が愛するエイドリアンを失ったものと同じもの。なので、いつものロッキーらしからず「俺はこの病との戦いがどういうものかを知っている。だから、この病と戦って生き延びるくらいならば、1日でも良いからエイドリアンと過ごしたい」なんて言ってしまったりと、伝説のチャンプも歳を取り、少し人生に終わりを見出している様がちょっとさみしかった。

だけど、それでもやっぱりロッキーはロッキーで、最後はとても力強かった。

 

ラストは爽やかにアッサリしていながらも、ロッキーファンも納得(僕個人の感想)の出来なのではないかと。間違いなく、個人的に今年ナンバーワン。