パーフェクトセンス(ネタバレアリ)
嗅覚
まず始めに人は、人生に置いて一番悲しい想い出を思い出し、ひたすら泣いた。
”想い出”には、匂いが付き物だ。
お母さんに抱っこされた時の、愛情が混じった家事の匂い。
そして、人類は嗅覚を失った。
味覚
次に、人生に置いて一番怖かった体験を思い出し、ひたすら恐怖に怯え、生に絶望する。
しかし人類は恐怖を乗り越え、生の希望を思い出し、生きる為の糧としてひたすら食べ物を食べた。
そして、人類は味覚を失った。
聴覚
次に、人類は激しい怒りによって争う。
愛する物に罵声を浴びせかけ、本心ではない罵声は誤解を呼ぶ。
その怒りさえも憎しみに代わり、遣り切れない叫びを叫ぶ。
そして、人類は聴覚を失った。
視覚
怒りによって、愛し合う人々はお互いに傷つけ合い、誤解した。
しかし、怒りとは一過性の物。
怒りが過ぎたとき本当の愛に気づき、誤解を解こうと、愛する者を一目見ようと、愛する者を探した。
そして人類は、視覚を失う。
と言った感じで、五感が一つずつ失われて行く病魔に犯されていく廃退的な人類を描いた一本。
先に思いっきりネタバレで書いちゃってるけど、視覚を失う所で映画が終わってしまって、パッとしない印象だったんだけど、思い返せば、なかなかの名作だったかもしれない。
主演のユアン・マクレガー演じるマイケルはいわゆる女たらしのシェフで、それこそ味覚を失うということ=失業しかないんだけどど、それでも食感だったり、目で料理を観て楽しむだったりで必死に「日常を継続」させようとするんだよね。
実は女たらしになった理由が有って、昔彼女が病気になってしまった時に、怖くて何も出来ず距離を置いてしまって、最後まで何もして挙げられなかったのがあり、それ以来女性を愛する事が怖くなってしまったから。
お相手のエヴァ・グリーン演じるスーザンは細菌科学者で、この病気を解き明かそうとする役である傍ら、付き合う男性がどれもロクデナシだったりして、それに苦しんでいる。
実は子供が出来ない体で、男性がみんな逃げて行ってしまうだけなんだけどね。
そんなときマイケルと出会って、お互いのヒミツを分かち合い、五感を徐々に失って行く中、怒りでお互い思ってもいないことでののしり合ったりしても、最後はやっぱりこの人しかいない!という感じで再開するんだけど、そこで画面が暗転、つまり視覚を失った所で終わり。
ブラインドネスをおもいだしたかなー。世界観はあんな感じで、もうちょっとマイルドかな。
面白かった。