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the industrial

都内で働くITエンジニアの日記

ゴーストライター

川村剛太「これでいいんだよな。」
荒垣武「ああ、お疲れ様。これでようやく、俺も、おまえもこの苦しみから解放されるな。」

〜数年前〜

川村「やあ、よく来てくれたね。」
荒垣「やあ、久振りだな。小学校以来か?35年ぶりだ。」
川村「そうだな、連絡とれてよかったよ。」
荒垣「お前今作曲家なんだってな。あのゲームの音楽もお前が作ったんだろう?なかなか良い出来じゃないか。で、話って言うのはなんだ?金か?」
川村「ああ、その話だが、金もそうだが少し違う。その作曲というのに関係あるんだ。」
荒垣「ほう、話してみろよ。」
川村「すまない。お前、小学校の頃からか自分で曲を作ったりしてただろう?今でもやってるのか?」
荒垣「ああ、家で趣味程度にやってるよ。お前に比べれば素人同然だけどな。」
川村「実はな、最近新しい曲を作ることが出来ないんだ。」
荒垣「ふむ…。」
川村「どうだろう、ゴーストライターとして俺の代わりに作曲して貰えないだろうか。も、もちろん金は弾む!6:4でお前の取り分が多くても構わん!た、頼む。俺はもうダメかもしれないんだ。」
荒垣「ダメかもしれない、と言うと?」
川村「最近、耳の調子がおかしいんだ。全く聴こえない訳ではない。しかし、だんだんと聴こえなくなってきているようなんだ。そう、音楽を作れば作るほど、その分聴こえなくなって行くような気がしてならないんだ。」
荒垣「…。」
川村「この先音楽を作ることが出来なくなって仕事も無くなり、生活に困り、愛する子供の声も聴こえなくなるかもと思うと、俺、もう、もう…!」
荒垣「…わかった。やらさせてもらうよ。」
川村「ほ、本当か!」
荒垣「ああ、お前にそこまで頼まれたら断れないよ。それに…。」
川村「それに?」
荒垣「自分の曲を聴いた人々がどう思ってくれるのか、気になるんだ。」
川村「そうか。そうしたら、詳細は改めて連絡するよ。本当にありがとう。」
荒垣「なあに、こっちも願ったり叶ったりさ。」

それからというもの、川村は「耳の聞こえない作曲家」として数々のヒット曲を飛ばし、裏では荒垣がゴーストライターとして活躍した。

〜数年後〜

荒垣「川村、こっちだ。」
川村「おう、次の曲の進捗どうですか。」
荒垣「あ、ああ。いい調子だよ。」
川村「それにしても話ってなんだ?」
荒垣「言いにくいことなんだが、もう辞めにしないか。この仕事。」
川村「なんだよ急に。」
荒垣「俺にとっては急ではない、俺、怖いんだ。お前に頼まれて初めに作った曲がヒット曲してからと言うもの、いつ世間にバレるかと、夢にまで出て来るんだ」
川村「そうか…。まあ、ここらで潮時なのかもな。」
荒垣「わかってくれるか?」
川村「いや、俺は別に気にしないんだが、お前のお陰でここまでやってこれたんだ。どうってことないさ。それに…。」
荒垣「それに?」
川村「お前のお陰でいい生活もさせて貰ってるしな。」
荒垣「すまない。」
川村「なあに、気にするな。それはそうと、最後くらい俺がケジメつけてこよう。こういうのはどうだ?居もしない雑誌記者が俺たちの事について気づくんだ。そして俺が記者会見をし…」

二人の仕組んだこの暴露劇は、数々のヒット曲を飛ばした耳の聞こえない作曲家川村の裏に、実はゴーストライターが居た事、そして表上は川村と荒垣が対立するという関係になった事は、センセーショナルなニュースとなって瞬く間に全国に広がった。

川村「これでいいんだよな。」
荒垣「ああ、お疲れ様。これでようやく、俺も、おまえもこの苦しみから解放されるな。」

とかなんとか言う妄想を電車の中で考えて、一気に小説風にしてみたけど、んなこたぁねぇよなw