いやーよかった。
そのうちまとめをしようと思ってて、結局倒れてから10カ月後の11月になってしまったこのエントリー。
たぶん、広い世の中には、今まさにペースメーカーを入れるか入れまいか不安に思っている人もいるので、書いておきたい。
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2013年1月4日、妹から「お母さんが倒れて救急車で運ばれた」というメールが届く。
すぐに折り返して電話。「胸を押さえながら、ウーとうなって倒れちゃった」との事。
急いで実家から歩いて5分の総合病院に行くと、いろいろなクダ(たぶん心電図やらなんやら)につながれた母親が。モニターには血圧が200を超えており、脈拍は少ない表示(具体的な数字は忘れた)。
この時の診断としては、「完全房室ブロック」というもので、心臓は上と下が交互に伸縮する事で、血液を集めて全身に促す。まあポンプの容量。
伸縮するため、というか筋肉を動かすためかな?、これにはもちろん電気が必要で、心臓の上の方にその電気を出す器官があるらしい。
その器官がまず心臓の上を動かし、さらに真ん中の関所の様な所を通って、心臓の下に伝わる。この一連の流れで、上、下、上、下と伸縮するんですな。
この関所の様なものが壊れてしまい、心臓の下へと電気が伝わらないのが完全房室ブロックだそうで。もちろん素人の理解だけど。
ただ、人体の神秘(先生がこう表現していた)というか、心臓の下では電気が伝わって来ないのを察知して、それを補うために独自に脈を器官を作ってしまうらしい。
す、すげえ、と思ったね。
ただ、心臓の上では元からあるその器官が電気を出し、下では独自に作られた器官が電気を出すので、先に書いたポンプの動きが正常に出来ないんだよね。
これが不整脈。
実は昨年の暮れ(2012年12月)にも倒れてしまったらしいんだけど、疲れているだけじゃないか?ということで別に病院には行かなかったんだとか。
この時は、落ち着いているときは話は出来たけど、発作(不整脈)が出ると、血圧が280くらいまで上昇して、本当に危ない状態にもなったそうな。
それを見た妹曰く「顔が黒くなっていって、ウーって唸っていた」んだとか。
母親にその時どんな感じだったか聞くと、「目の前が揺れて、だんだん暗くなっていく感じ」との事。
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つくば大学は日本でも指折りの心臓疾患に対する技術を保持しているらしく、初めにお世話になった病院が母の事を相談したら、すぐにでもつくば大学病院に連れてきて処置をした方が良いということになり、緊急搬送。
その日のうちに、詳細な原因を調べるため、心臓カテーテル(心カテ)を行うことに。
心カテってのは、足の付け根の血管から心臓の中まで管を通して、後述する造影剤の投与だったり、血栓を取り除く処置だったりをする事で、万が一血栓が血管の末端に流れてしまうと、詰まってしまい、2%の確率で命を落としてしまう人もいるんだとか。
聞いただけで痛々しいんだけど、先生曰く、「足のところはちょっと痛いだろうけど、血管の中は痛くないよ」との事。
精神的に十分痛い話である笑
そんなこんなを事前に医師から説明をうけ、後はひたすら待つ事に。
姉と妹に電話をして、「もしかしたらお母さん、今日死んじゃうかもだから、覚悟しておいてね」って電話した時は、さすがに泣いたね。
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2〜3時間くらい経過してからかな?、先生に呼び出され、心臓には3本の太い血管があり、そのうちの1本が完全にふさがった状態、つまり、「心筋梗塞」とのこと。
心カテの映像をみせてもらうと、それがよくわかるのなんの。完全房室ブロックも、この心筋梗塞が原因だとか。
この映像というのがすごくて、レントゲンの写真がそのまま動いている感じなんだけど、血管自体は映らないんだよね。だから、血管の形が見えるように造影剤というものを流して、録画する。
僕も技術者の端くれで、本当にこのシステムすげえと思った。テストとかどうやったんだろうか笑
この時先生が、「ここ見てください、完全に詰まってますね。これからこの血栓を取り除きますが、もしかしたら取れない可能性もありますので」とおっしゃってて、「え、とれない場合ってどうなるんでしょうか」と聞いても、はっきり答えてくれなかったのが今でも鮮明に覚えているね。
つまり、取れなかった場合はあきらめる=死ぬって事。怖かったな。
それからさらに2時間くらいしてから、夜勤のおじさん?に呼び出され「お母さんを迎えに行きましょう」って言われたんよね。
この言い方はおかしいよね。無事に終わったのかどうかわからんて笑
まあ、何とか血栓もとれ、その場所(血管の中)にステントと呼ばれる金属の筒を設置して処置は無事に終わり。
この時夜中の2時くらいで、そのあと「迷走神経反射(俺も注射するときよくある)」ってのになってしまったりで、やっと対面出来た時には朝方4時くらいだったかな。
とりあえずみんなに電話して、この日は待合室で寝ることに。
医療関係の人ってみんな偉そうにしていてイメージ悪かったんだけど、この件で絡んだ人はみんな本当に優しくしてくれたんだよね。
この日も病院がタオルケットを貸してくれた。まあ、すげー毛が出るタイプのやつで、朝起きたら体中タオルケットの毛でおおわれてたんだけど。
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血管は通ったんだけど、今度は先の「関所」がぶっ壊れており、心臓の上下の脈がうまくとれない状態なので、ペースメーカーを入れる事に。
実は入院中も、首の付け根から心臓へ電極を通すタイプの「外付けペースメーカー」をつけてたんよね。
心配だったのは費用。
ペースメーカーって一つ200万円くらいするらしいし、母親は不整脈もあるので、そういったときに軽い電気ショックを出せるタイプ(少し大きい)を入れる必要があるとかで、どーしたものかと。
しかし実は費用についてはなんの心配もいらなかった。理由としては2点。
まず、「高額医療費控除制度」。
これは市区町村に申請するんだけど、所得区分によって月に支払う医療費の上限が決まり、それ以上は控除されるというもので、先に申請しておけば、例えば母親の場合は収入0円なので、月4万円くらい(一般の所得区分だと8万円くらい)で済む。
市区町村によって違うので、もし申請が必要な人は問い合わせるべし。
ちなみに、以前はとりあえず自費負担→高額医療費控除申請→還付という形だったけど、今は改正されて、病院の窓口での支払いから既に適用されるのね(もちろん先に高額医療費控除申請が必要だけど)。
二つ目は「障害者手帳」。
ペースメーカーを入れた人は、それだけで1級障害者に認定されるので、以降の医療費はすべて支払う必要が無いんだとか。母親も1級障害者として、障害者手帳を申請。
なぜ1級なるの?って初めは思ってたけど、よく考えるとその機械が無いと死んだも同然なので、そうなのかね。
ってことで、ペースメーカー入植手術も無事に終了。
入植手術は心カテとは別の日で、1~2時間ほどだったかな。
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それから1~2週間で退院なんだけど、退院する時が一番大変だった。
薬の影響か、歩くとめまいしてしまうらしく、2mもまともに歩けないんだよね。
つくば大学病院→駅まではタクシーでなんとかたどりついたけど、駅の外→電車に乗るまでが本当に大変。
3メートル歩いては休憩を繰り返し、やっとの事で電車に乗ったと思ったら、優先席に座って携帯電話で話すバカが居たので、低調にお願い。
まあ、携帯電話の電波はペースメーカーに影響しないらしいので、これは間違いだけど、当時は本当に大変で、些細な事でも「お前ら協力しろよカs」とか思っちゃった程。
地元駅に付いてからも、母親はもう歩けないと言うし(歩くの3週間ぶりくらいだからそれはそうなんだけど)、家までまともに歩くと僕でも15分程かかるので、さあどうしようと。
駅員さんに訳を話すと、「本当はダメなんだけど」という体で快く車いすを借りられる事に。つくばエクスプレスは本当に出来る子やで。借りた車椅子でタクシー乗り場へ。
やっとこさ帰宅。
これの他に、母親の心臓では、もう一本太い血管が詰まりそうだったので、退院2ヶ月後(3月だったかな)にまた入院して、心カテを行い、同じ様にステントを入れる。
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それから、退院してからしばらくは、心臓の検査と、ペースメーカー検査(デバイス外来と言う)を行う必要があるので、その日は僕がお休みを貰い、レンタカーを借りて、家→実家→つくば大学病院にて検査。
心臓の検査が1ヶ月ごと、デバイス外来は初め3ヶ月ごとくらいだったかな?
心臓の検査は、今では初め入院した病院に行っているんだけど、デバイス外来についてはつくば大学病院じゃないと出来ないので、今でも半年に1度同じ様に通う。
このデバイス外来、なかなか技術者魂の結晶に見えてすごいんだけど、内容が、大きな機械とペースメーカーを同期させて、ログの収集と、脈を遅くしてみた場合正常に動いているか等等を確認するのね。
良く作ったなあと。
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あとは薬で様子をみつつ、今に至るという感じかな。
文章で書いてみると対した事なさそうだけど、この1年本当に大変やった。
まあ、結果的に元気になってくれて、心配ごとは無くなった感じ。
いや、一つ心配なのが3個あった。
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一つ、ペースメーカーは電池で動いているので、通常7年に一度交換する必要があるので、その手術がそのうち。しかも母親が入れたペースメーカーは軽い電気ショック機能がついているので5年で交換。まあ、1回やってる手術だから大丈夫だとは思うんだけど、やや心配。
二つ、ペースメーカーを入れると、その周りに薄い膜を貼って、しまいには骨かなんかに固定されるらしいんだけど、母親のはなかなか固定されないみたいなんだよね。酷い時はひっくり返って導線が抜けちゃうとかもあるらしくて、その辺早く落ち着いて欲しいなと。
三つ、ペースメーカーって電池が続く限り、ずっと電気を流して心臓を動かしているんだよね。それって、将来”その時”が来たらどうなるんだろう、と。
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まあまあ、今はとても元気なので、もし似た様な境遇の人の少しでも励みになればと思い。
地元駅に付いてからも、母親はもう歩けないと言うし(歩くの3週間ぶりくらいだからそれはそうなんだけど)、家までまともに歩くと僕でも15分程かかるので、さあどうしようと。
駅員さんに訳を話すと、「本当はダメなんだけど」という体で快く車いすを借りられる事に。つくばエクスプレスは本当に出来る子やで。借りた車椅子でタクシー乗り場へ。
やっとこさ帰宅。
これの他に、母親の心臓では、もう一本太い血管が詰まりそうだったので、退院2ヶ月後(3月だったかな)にまた入院して、心カテを行い、同じ様にステントを入れる。
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それから、退院してからしばらくは、心臓の検査と、ペースメーカー検査(デバイス外来と言う)を行う必要があるので、その日は僕がお休みを貰い、レンタカーを借りて、家→実家→つくば大学病院にて検査。
心臓の検査が1ヶ月ごと、デバイス外来は初め3ヶ月ごとくらいだったかな?
心臓の検査は、今では初め入院した病院に行っているんだけど、デバイス外来についてはつくば大学病院じゃないと出来ないので、今でも半年に1度同じ様に通う。
このデバイス外来、なかなか技術者魂の結晶に見えてすごいんだけど、内容が、大きな機械とペースメーカーを同期させて、ログの収集と、脈を遅くしてみた場合正常に動いているか等等を確認するのね。
良く作ったなあと。
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あとは薬で様子をみつつ、今に至るという感じかな。
文章で書いてみると対した事なさそうだけど、この1年本当に大変やった。
まあ、結果的に元気になってくれて、心配ごとは無くなった感じ。
いや、一つ心配なのが3個あった。
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一つ、ペースメーカーは電池で動いているので、通常7年に一度交換する必要があるので、その手術がそのうち。しかも母親が入れたペースメーカーは軽い電気ショック機能がついているので5年で交換。まあ、1回やってる手術だから大丈夫だとは思うんだけど、やや心配。
二つ、ペースメーカーを入れると、その周りに薄い膜を貼って、しまいには骨かなんかに固定されるらしいんだけど、母親のはなかなか固定されないみたいなんだよね。酷い時はひっくり返って導線が抜けちゃうとかもあるらしくて、その辺早く落ち着いて欲しいなと。
三つ、ペースメーカーって電池が続く限り、ずっと電気を流して心臓を動かしているんだよね。それって、将来”その時”が来たらどうなるんだろう、と。
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まあまあ、今はとても元気なので、もし似た様な境遇の人の少しでも励みになればと思い。